登記する必要性

みなさん、不動産登記ってご存知ですか?

聞いたことはあるけれど、どこでどうなってどうするの?って聞かれると困っちゃう。

不動産登記っていうのがあると、土地の所有権でもめても勝てるし強いんでしょ?

っていうか不動産買ったら登記ってしなきゃいけないの?

そんな方へ向けた記事になります。

 

そもそも、不動産登記とは国の機関である法務局に行って、この土地や家は誰々のものですよと記録してもらう事が主になります。

この登記が行われると、全く関係のない第三者が法務局に行って、この土地や家は誰のもの?って聞くと、その記録を見る事ができます。

つまり、登記とは土地や家の所有権を記録をもって社会に主張する事なんですね。

 

私たち、不動産屋も、この登記情報を元に土地の地主さまを調べたり、抵当権がついていないか等、詳細な不動産調査を行います。

 

しかし、この登記情報は絶対に正しいとは限らないのです…

ですので私たち不動産業者も現地調査を必ず行います。

そして、もうひとつ、この登記情報を信じて取引をして実は登記が正しくなかった場合でも国の機関である法務局は何もしてくれません。

 

 

どういう事かといいますと、不動産登記は、やってもやらなくても良いんです。

※建物の新築等、登記が義務化されている事項は別

 

 

例えば、不動産を買った。親が亡くなって不動産を相続した。親類や他人から不動産をもらった(贈与)。こういった場合に不動産登記をしなければならないのか?答えはノーです。義務ではありません。

登記していなくても何の罰則もありません。つまり、不動産を買ったけど登記は前の人のままになっている。相続したけど登記は死んだ人の名前のままである。不動産をもらったけど前の人の登記のままである。これは、よくある事なのです。

 

あくまで登記は不動産の所有権を主張する場であって、主張しなければならないわけではないです。それに、登記したからといって新しく所有権が生まれるわけではありません。

登記によって所有権を主張していない人もたくさんいます。無料では登記できませんからね。

2017年頃の市場調査によると、登記によって真の土地の所有者が不明になっている土地が九州の面積以上であると報道がありました。トンデモない状況ですね。

 

例えば

Aさんに土地を売ってもらいたいBさん。

Aさんは土地を絶対に売りません。

そこでBが勝手に土地の登記を自分の所有物であると変更しました。

 

だからといって土地がBさんの物には絶対になりません。

 

これで、土地の所有者はA、登記上の所有者はBです。

 

そしてBはその登記情報を持ってCさんへ土地の売却を行いました。しかし、真の土地の所有者はAです。登記情報を信じたCさんは騙された事になりますね。もちろん土地がCさんのものになることはありません。

そして、国の機関である法務局は登記が間違っててごめんなさいとは言ってくれません。

つまり、日本において登記情報を信じるものは救われないのです。

 

じゃあ何さ、法的に不動産登記は何の役にも立たないじゃないかって言いたくなりますね。

しかし、唯一、不動産登記が法的に役に立つケースがあります。

 

そのケースとは、不動産の二重譲渡です。

 

不動産は名前が書いてあるわけでもなく、看板が立っているわけでもないですね。

だから二重に売ったり贈与されたりする事があるんです。

様々なケース想定されますので、ここでは分かり易い例をひとつ。

 

Aさんが土地をBさんに売りお金を受け取りました。

しかし、新たにCさんが現れBさんの10倍の価格で買うから売ってほしいと言いました。

AさんはBさんに土地を売りましたが、まだ登記もしていなかったので、やっぱりCさんに売ることにし、Cさんからもお金をもらいました。

 

Aさん、ひとつしか土地がないのに2人に売ってしまうなんて悪い人ですね。

 

さて、ここからが問題です。真の土地の所有者はBさんでしょうかCさんでしょうか。

 

答えは、先に法務局で土地の登記を行った方です。

 

民法第177条にこうあります。

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

この第三者に対する法的な対抗要件を備える為には先に登記する事が必要なのです。

登記業務を請け負っている司法書士の先生方は、この民法第177条のおかげで不動産登記の仕事があると言っても言い過ぎではないかもしれません。

それほど、この民法第177条は不動産登記を行う事に関して重要な法律になっています。

 

また、登記をしていないと土地を担保にローンを組んだり、住宅ローンを組む事ができません。

それに、登記が正しくないと土地を売却する際に買主が登記を行えない場合があり、土地を売却する事ができなくなってしまいます。

登記が、おじいちゃんのままだけど、土地を売りたい。登記を正しく直そうとしたら、相続人が8人もいて、その内3人は亡くなっていて、その子供たちが12人いて…となると、相続登記をしようとしても相続人全員と連絡がとれず、登記する事ができない。なんて事は、よくあります。

残念ですが、そういった土地は、もう動かす事ができない土地なのです。

 

不動産登記はやってもやらなくてもいい。登記するにも費用がかかります。

そう。やらなくても良いのですが、今は良くても後々登記していないと不都合な場面に遭遇します。

 

じゃ、その時に登記すればいいじゃないかとなって、いざ登記する時にできない。

そんな、どうしようもないという事にならない為にも、不動産登記は権利の変動があった際には適宜適切に行う事をおすすめします。